アニサキスとは?
アニサキスとは、幼虫時代にサバ、カツオ、サンマ、サーモン、イカなどに寄生する寄生虫です。
上記のような魚介類を生(刺身)または不十分な加熱・冷凍処理でヒトが食べると、胃などに寄生します。およそ2~3センチ程度の全長がありますので、肉眼でも確認できます。ヒトの体内で生息できる期間は、約1週間といわれています
そして、アニサキスが胃粘膜に噛みつき、激しい胃痛などの症状をきたすのが、「胃アニサキス症」です。胃のアニサキスは、胃カメラ検査での摘出が可能であり、当院でも対応しております。
胃から腸へと移動したり、消化管の外に寄生してしまうこともあるため、すぐにご連絡の上、受診してください。
アニサキス症が増えている!?
2022年、例年にないペースで胃アニサキス症が確認されています。また、これは一般にあまり知られていませんが、2008年頃からその件数は増加しています。
アニサキス症増加の原因としては、魚介類など生鮮食品の低温流通システムの発達が挙げられています。アニサキスは魚介類の内臓に寄生していますが、その魚介類が死亡すると内臓から筋肉へ(ヒトが食べないところから食べるところへ)移動する性質があります。時間が経過するほど筋肉へと移動している可能性が高くなり、魚介類自体は新鮮であっても、アニサキスを口にしてしまうケースが多くなっていると考えられます。
また、宿主となる魚がたくさん捕れた年などは、比例してアニサキス症の数も多くなると言われています。
アニサキスによる疾患と
症状チェック
胃アニサキス症
アニサキスが胃の壁に噛みつくことで発症します。
症状
- 激しい胃痛
- 吐き気
- 嘔吐
食後3~4時間以内に上記のような症状が現れた場合には、胃アニサキス症を疑います。
腸アニサキス症
アニサキスが腸の壁に噛みつくことで発症します。
通常、食後すぐに症状は現れません。
症状
- 強い下腹部痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 発熱
食後十数時間、場合によっては数日後に上記のような症状が現れます。
アニサキスアレルギー
アニサキスに対するアレルギーを発症するケースです。
青魚アレルギーだと診断されたケースが、実はアニサキスアレルギーであったという例も報告されています。
症状
- 蕁麻疹
- 血圧低下
- 呼吸障害
- 意識低下
アナフィラキシーショックを起こすこともあります。
消化管外アニサキス症
胃や腸などの壁を破り、腹腔へと飛び出して寄生する珍しいケースです。
症状
寄生した部位に応じた症状が現れます。
アニサキスの検査
症状、食べ物を確認し、内視鏡検査を行います。胃アニサキス症であるケースが全体の約99%を占めるため、基本的に胃カメラ検査となります。補助的な検査として、血清検査を行うこともあります。
胃カメラ検査でアニサキスを発見すれば、その場で摘出し、治療となります。
なお、消化管外アニサキスアレルギーの場合には、CT検査も必要になります。
アニサキスの治療
胃アニサキス症の治療
胃カメラ検査で発見したアニサキスを、その場で摘出します。内視鏡の先から出した鉗子による摘出です。
腸アニサキス症の治療
一般に、抗アレルギー剤、症状に応じた内服薬で治療をします。
アニサキスアレルギーの治療
軽度の場合には抗ヒスタミン薬を使用します。重度の場合には、ステロイドを使用することがあります。
消化管外アニサキス症の治療
アニサキスが寄生した部位によって、治療法が異なります。必要と判断した場合には、すぐに提携する病院へとご紹介いたします。
アニサキス症の対策
アニサキスは、寄生した魚介類を60度以上で1分以上加熱する、もしくはマイナス20度以下で24時間以上冷凍することで死滅します。このため、この処置を経ていれば、基本的に発症することはありません。問題なのは、刺身など生で魚介類を食べるときです。生で食べる場合には、以下のようなことに気をつけてください。
- 魚はできるだけ早くさばき、内臓を取り除く
- 内臓を食べない
- 目視できる(全長2~3センチ)ため、十分にチェックしながら調理する・口へ運ぶ
※アニサキスアレルギーの方は、加熱・冷凍の処理を行い、アニサキスを死滅させたとしても、その死骸に対してアレルギーを起こします。
アニサキスが寄生する可能性のある魚介類を「食べない」ことが何よりの予防法です。