胆石・胆石症とは?
右上腹部に位置する胆嚢には、肝臓で作られた胆汁が一時的に貯められます。この胆汁の成分が胆嚢や胆管で結晶化したものが、「胆石」です。
そして、胆石を原因として痛みや発熱といった症状をきたしている状態を「胆石症」と呼びます。
なお、胆石は以下のように大きく3つに分類されます。
胆嚢結石
胆嚢の収縮によって動いた胆石が、胆嚢の出口で詰まったものです。
総胆管結石
胆嚢から出ている管と、肝臓から出ていく胆管が合流した「総胆管」の出口に胆石が詰まったものです。
急性胆管炎や、急性膵炎を合併することがあります。
肝内結石
肝臓の胆管でできた結石を指します。稀な結石です。
胆石症の症状チェック
- 右側肋骨の下の痛み(胆道痛)
- 吐き気
- 食欲不振
- 倦怠感
- 高熱
- 黄疸
胆道通は、右肩、背中、腰に波及することがあります。また、これらの痛みは、食後に現れやすいという特徴を持ちます。
胆石症の原因は?
胆汁は、ビリルビン、コレステロール、胆汁酸、レシチンを中心とするリン脂で構成されています。この胆汁が濃縮される過程において、成分に偏りが出たり、細菌感染などによる成分の分解が起こるなどして、結晶が生じ石になると言われています。
リスク要因としては、肥満、ストレス、食べ過ぎ、不規則な食習慣などが挙げられます。
胆石症の検査と診断
症状、持病、既往歴、服用中のお薬などについてお伺いしたのち、腹部超音波検査、血液検査などを行います。
腹部超音波検査は、胆嚢結石のほぼ100%を、総胆管結石を90%以上の確率で発見できます。痛み、被ばくの一切ない、負担の少ない検査です。
血液検査では、炎症や黄疸といった症状を調べます。
胆石症の治療
無症状の場合は、特別な治療は行わず、経過観察をしていきます。
症状がある場合には、手術が検討されます。
手術
胆石だけを除去しても再発の可能性が高いため、胆嚢ごと取り除きます。
現在は、腹腔鏡による手術が一般的となっています。開腹手術が必要になるのは、胆嚢が癒着している、胆嚢がんの可能性がある場合などです。
胆嚢・胆嚢ポリープとは?
胆嚢は、右上腹部にある器官です。主に、肝臓で作られた胆汁を貯めておく役割を担っています。
そして、胆嚢の内壁から発生した隆起のことを「胆嚢ポリープ」と言います。
胆嚢ポリープは無症状!?
ポリープの部位、大きさによっては、腹痛などの症状が見られます。しかし、基本的には無症状であることがほとんどです。健診、あるいは胆石・胆のう炎などが疑われた際の超音波検査で偶然発見されるケースも少なくありません。
胆嚢ポリープの原因は?
はっきりとした原因は分かっていません。
しかし、肥満の方、脂質異常症・糖尿病のある方に発生することが多く、メタボリックシンドロームとの関連が指摘されています。
胆嚢ポリープの検査と診断
症状の有無、持病、既往歴、服用中のお薬などについてお伺いしたのち、腹部超音波検査を行い、診断します。
ポリープの大きさ・形・数などを確認することができます。痛みや被ばくのない、ご負担の少ない検査です。
胆嚢ポリープの治療
ポリープが10ミリ以上である場合、茎が幅広い場合、胆嚢がんの可能性がある場合、経過観察中にポリープが大きくなっている場合には、治療を行います。
治療では、手術が行われます。
手術
胆嚢がんまで進行していないと思われる場合には、腹腔鏡での胆嚢摘出術が行われます。ただし、手術中にがんおよびその転移・浸潤が認められた場合には、開腹手術へと切り替えることがあります。
一方で胆嚢がんへの進行が疑われる場合には、開腹手術での胆嚢摘出術が行われます。必要に応じて、転移が想定されるリンパ節も同時に切除します。