膵のう胞とは?
膵のう胞とは、膵臓の内側や周囲にできる「液体を含んだ袋状の構造物」のことを指します。
ほとんどは無症状であり、CTやMRIで偶然見つかるケースが目立ちます。
ただ、経過観察に留まるものから、手術が必要なものまで存在するため、さまざまな検査による正確な診断・対応が求められます。
膵のう胞の分類
膵嚢胞は、大きく腫瘍性膵のう胞と、非腫瘍性膵のう胞に分けられます。
特に腫瘍性膵のう胞が疑われる場合には、精密検査が必要になります。
腫瘍性 膵のう胞 |
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 粘液性のう胞腫瘍(MCN) 漿液性のう胞腫瘍(SCN) など |
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非腫瘍性 膵のう胞 |
膵仮性のう胞 膵リンパ上皮のう胞 など |
がん化する恐れのある
膵管内乳頭粘液性腫瘍
(IPMN)
腫瘍性膵のう胞のうち、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、良性から悪性のものまで幅広い段階があり、徐々に進行していきます。そして、年1%ほどのがん化のリスクが認められます。悪性の所見が得られた場合や、悪性であることが強く疑われる場合には、手術を検討します。
同様に、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)も悪性の可能性が高く、手術が必要になることが多くなります。
一方で漿液性嚢胞腫瘍(SCN)については、良性である可能性が高くなります。ただ、大きくなった場合などには、やはり手術が必要になることがあります。
膵のう胞の症状は無症状!?
膵のう胞は、基本的に無症状のことがほとんどです。
ただ、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵仮性のう胞といった一部の膵のう胞については、腹痛、背中の痛みなどを伴うことがあります。
膵のう胞の検査と診断
症状の有無、持病、既往歴、服用中のお薬などについてお伺いしたのち、腹部超音波検査、CT、MRCP(膵臓のMRI)、超音波内視鏡検査などを行い、診断します。
超音波内視鏡検査とは、胃内視鏡の先端に超音波装置によって、消化管壁の構造、膵臓・胆管・胆嚢・リンパ節などを調べる検査です。
膵のう胞の治療
膵のう胞は、その種類によって治療法が異なります。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の
治療
腹部超音波検査、CT、MRCP(膵臓のMRI)などによって定期的な経過観察を行いながら、がんが疑われる・がん化のリスクが高い場合に、手術を行います。
粘液性のう胞腫瘍(MCN)
がん化のリスクが高いため、手術をすることが多くなります。
漿液性のう胞腫瘍(SCN)
無症状の場合は経過観察を行います。
ただし、腹痛や出血などの症状が認められる場合、のう胞が大きくなった場合などには、手術が必要になることがあります。
膵仮性のう胞
急性膵炎など、原因となる疾患の治療を行います。仮性膵のう胞自体は、自然に吸収されることがあるため、症状がない場合には経過観察します。
しかし症状が強い、膵のう胞が大きいといった場合には、経皮的な処置・手術が必要になります。