逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎とは、胃酸・胃の内容物が逆流し、食道に炎症を起こしてしまう病気です。
食道粘膜は本来胃酸にさらされることがないため、胃粘膜とは異なり、胃酸に対する防御機能を持っていません。
国内では、成人のうち1~2割に認められるものと推定される身近な病気です。若い方からご高齢の方まで、幅広い年代で見られます。
逆流性食道炎の症状チェック
- 胸やけ、胃のむかつき
- 酸っぱいものがこみ上げてくる
- げっぷがよく出る
- 喉のひりひりする感じ
- 食べ物が喉につかえる感じ
- 咳
- 声がれ
上記のような症状が週に2回以上ある場合には、逆流性食道炎を疑います。
逆流性食道炎は自然治癒する
ことがあるのか?
暴飲暴食、脂っこいものの食べ過ぎなどで胃酸が逆流するということは、誰にでも起こり得ることです。
食べ過ぎたのは今日だけということであれば、食道粘膜の炎症もごく軽微なものとなり、自然治癒が期待できます。またその場合は、基本的に無症状です。
一方で胃酸の逆流が頻繁に起こるような場合には、炎症に伴う症状が現れ、症状も継続します。粘膜を修復する働きはありますが、追いつかないものと考えらえます。つまり、症状がある以上、自然治癒は期待できず治療が必要になる可能性が高くなります。
逆流性食道炎の原因は?
ストレスとの関係
逆流性食道炎の直接的な原因は、胃酸の逆流です。
この胃酸の逆流を招く要因としては、以下のようなものが挙げられます。
下部食道括約筋の機能低下
食道と胃の境目には、下部食道括約筋という筋肉があります。この筋肉が正しく機能することで、食べるときには開き、食べないときには閉めるといったことが可能になっています。しかし、加齢によって下部食道括約筋の機能が低下すると、食べていないときにも食道が開き、胃酸の逆流が起こりやすくなります。また、食べ過ぎによって下部食道括約筋が一時的に緩むことがあります。
肥満、姿勢不良
肥満や姿勢不良は、腹圧の上昇を招き、胃酸が逆流する原因になります。
姿勢不良には、猫背に加え、デスクワークや手元の細かい作業、畑仕事などの際の前かがみ・背中が丸まった姿勢も含まれます。
締め付けの強い服装・ベルト
服やベルトなどで身体を締め付けると、腹圧の上昇を招き、胃酸が逆流する原因になります。
薬の副作用
喘息、高血圧、心臓疾患などで使用する薬の一部には、下部食道括約筋を緩める副作用が出ることがあります。
逆流性食道炎の検査と診断
症状、生活習慣、持病、既往歴、服用中の薬などをお伺いした上で、胃カメラ検査を行い、診断します。
当院では、鼻から通し苦痛の少ない経鼻内視鏡、ウトウトした状態で検査を受けられる鎮静剤を使用した胃カメラ検査を実施しております。
逆流性食道炎の治療と治し方
生活習慣指導
主に食事療法について指導します。また、食道や胃を正しく機能させるため、規則正しい生活リズムを守ること、ストレスを溜めないことも大切です。
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬、食道・胃の蠕動運動を促進する薬、食道粘膜を保護する薬などを処方します。
特に、胃酸の分泌を抑える薬には、症状を軽減する高い効果が期待できます。
手術
生活習慣指導や薬物療法で十分な効果が得られない、重症化し出血を繰り返しているといった場合には、手術が検討されます。
手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院へとご紹介します。
逆流性食道炎になったら…
食事はどうすべき?
高脂肪・高タンパクの食事、食べ過ぎ、飲み過ぎ、刺激物、炭酸飲料などの摂り過ぎを控えます。粘膜を修復するビタミンUを多く含むキャベツ、アスパラガス、レタス、ブロッコリー、トマト、セロリなどを意識して摂取しましょう。
また、以下のような食べ方・食べたあとの過ごし方もポイントになります。
- よく噛んでゆっくり食べるようにしてください。
- 就寝前約2時間は何も食べないようにしてください。
- 食後すぐに横にならないでください。
- 就寝時に上半身を少し高くすると、就寝時の胃酸の逆流を防げます。