高濃度ビタミンC点滴とは
高濃度ビタミンC点滴療法は、通常の食事やサプリメントでは摂取困難な大量のビタミンCを体内に投与する治療法です。
ビタミンCは身体の中で様々な働きを担っている必須アミノ酸です。ビタミンCはシミの原因となるメラニンの合成を抑制したり、抗酸化作用、コラーゲン合成促進、疲労回復効果、免疫力向上、抗アレルギー作用、動脈硬化改善などの様々な効果が期待できます。人間は体内でビタミンCを生成することができません。そのため外部から摂取する必要があります。 ではなぜビタミンCを点滴で投与するのでしょうか? ビタミンCは内服薬やサプリメントなどでも摂ることはできますが、腸から吸収される上限は3000mgとされており、そのほとんどは利用される前に尿として排出されてしまいます。高濃度ビタミンC点滴では大量かつ高濃度のビタミンCを直接血管内に入れることができます。腸からの吸収に比べて約20~40倍の血中濃度に達するため、高い効果が速やかに得られます。
こんな方におすすめです。
高濃度ビタミンC点滴は、以下のような方におすすめします。
がんの予防
細胞の酸化を防ぐ(抗酸化作用)ことで、がん化に繋がる活性酸素を消し、“がん細胞”の発生を抑制し、老化を遅らせたりするとされています。
免疫機能を向上させたい方
高濃度ビタミンCは、免疫機能の改善に寄与する可能性があります。免疫力を高めたい方や、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい方にとって、高濃度ビタミンC点滴は一考される治療法です。
疲労回復を目指す方
高濃度ビタミンC点滴は、疲労回復にも効果があるとされています。ストレスや慢性疲労による体力低下を改善し、回復を促進することが期待されます。ストレスが多い方、冷え性の方、肩こりの方にも効果的です。
高濃度ビタミンC点滴の美肌効果
抗酸化作用
ビタミンCは強力な抗酸化物質であり、酸化ストレスから肌を保護する働きがあります。過剰な酸化ストレスは、肌の老化やシミ、しわ、くすみの原因となるため、抗酸化作用によって肌の健康を維持し、若々しい肌を促進する可能性があります。
コラーゲン合成促進
ビタミンCは、コラーゲンの生成に重要な役割を果たしています。コラーゲンは肌の弾力性やハリを保つために必要なたんぱく質です。高濃度ビタミンC点滴によってビタミンCが直接血液中に供給されることで、コラーゲンの合成を促進し、肌の弾力性やハリを改善する効果が期待されます。
肌のトーン改善
高濃度ビタミンC点滴によるビタミンCの投与は、肌のトーンを均一化する助けとなる可能性があります。ビタミンCはメラニン色素の生成を抑制するため、シミや色素沈着を軽減する効果が期待できます。
当院で使用している高濃度ビタミンC製剤について
当院は米国で正式な高濃度ビタミンC点滴プロブラムを実施している点滴療法研究会マスターズクラブ会員であり、当研究会から推奨されているMylan社製のビタミンC製剤を使用しております。
日本製の点滴用ビタミンC製剤は1瓶が2グラムのものが最大量となっており、高濃度ビタミンC点滴(25グラム)を行うのに、12.5瓶もの点滴製剤が必要となってしまいます。その1瓶1瓶に防腐剤が入っているため、かなりの量の防腐剤が体内に入ってしまうこととなり、体に悪影響をおこす可能性があります。その点Mylan社製のビタミンC製剤は1瓶のみで25グラム入っており、防腐剤は一切使用しておらず安心です。
またビタミンC製剤は常温で保存されると酸化され効果が著しく減弱される可能性がありますが、Mylan社製のビタミンC製剤は輸送から保存まで一貫して冷蔵管理されており、米国食品医薬局(FDA)の厳しい基準をクリアしたものです。アイルランドでの生産から冷蔵輸送を経て当院に届けられるまで厳格に品質管理がなされております。
高濃度ビタミンC点滴の流れ
①ご予約
WEB予約またはお電話にてご予約ください。
②血液検査
初めて高濃度ビタミンC点滴を受ける場合、肝機能や腎機能、G6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)などの検査が行われます。これは、点滴によるビタミンCの代謝や排泄に影響を与える可能性があるため、安全性を確保するための措置です。
③飲食
ビタミンC点滴を受ける前に、食事をして頂きます。
④高濃度ビタミンC点滴を行います。
検査結果に問題がなければ、同意書にご記入頂き、実際に点滴を受けていただきます。(所要時間:約40分)
⑥継続的な点滴
高濃度ビタミンC点滴の効果を最大化するためには、2〜3週間に1回程度、定期的な点滴を継続することが推奨されます。点滴の頻度や継続期間は、医師との相談に基づいて決定されます。
高濃度ビタミンC点滴の副作用
15年間に3万件の高濃度ビタミンC点滴が行われた結果、死亡例は報告されていません。高濃度ビタミンC点滴は副作用が非常に少ない治療法です。
点滴部位の痛み
点滴時の血管痛や注射部位の痛みや腫れを認めることがあります。しかし、この痛みは点滴によるものであり、ビタミンCの副作用ではないため、心配する必要はありません。点滴が終わって数時間経過すれば、痛みは収まります。
のどの渇き
高濃度ビタミンCは利尿作用を持っているため、体内の水分が排出されてしまい、のどが渇きやすくなることがあります。しかし、点滴中は水分を補給することができるため、こまめに水分を摂取すれば問題ありません。
低血糖
稀に、ビタミンCの摂取によって低血糖が引き起こされることがあります。ビタミンCの化学構造がブドウ糖に似ているため、体内が血糖を下げるインスリンを過剰に分泌してしまうことが原因です。点滴前には、可能な限り食事を摂るように心がけましょう。
嘔気、嘔吐、頭痛
血中浸透圧上昇による脳圧低下、空腹あるいは脱水状態での点滴によっておこります。点滴前の食事を抜かず、飲水を十分にするなどを心がけましょう。
低カルシウム血症によるテタニー
ビタミンCのキレート作用により低カルシウム血症によるテタニー症状を起こすことがあります。点滴にグルコン酸カルシウムを添加するなどで予防しています。
高濃度ビタミンC点滴が受けられない人
高濃度ビタミンC点滴は、以下の条件に該当する方には受けることができません。当院では、安全性を確保するために、事前に診察と血液検査を行い、心不全、腎機能低下、糖尿病・G6PD欠損症の有無を確認しています。
- G6PD欠損(低下)症の方
- 心不全の方
- 肝不全の方
- 腎不全の方
- 重度の糖尿病の方
- 妊娠中の方
他の点滴と併用可能
高濃度ビタミンC点滴にマイヤーズカクテル点滴やグルタチオン点滴を併用することができます。詳しい内容は電話もしくは診察時にご相談ください。
高濃度ビタミンC点滴の費用
G6PD検査料 | 5000円(税込) |
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高濃度ビタミンC 25g | 15000円(税込) |
※初診の場合は上記以外に初診料2000円(税込)が別途かかります。再診料はかかりません。